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第82話  

そこで、彼は思い切ってすべてを明らかにすることにした。彼らの不安を取り除くためだ。いくら彼らでも、金をタダでもらえる話に、反対するはずがない。

「森岡さんがそうまで言うなら、私たちも遠慮なく甘えさせてもらうよ。江城は何年も平和だった。これ以上、争い事は起こしたくないんだ。どうかご理解ください」

「わかっています。私は、出資するだけで、経営には一切関与しません!江城に進出するつもりもないので、ご安心ください!資金が必要な時は、いつでも私に声をかけてください」

「よし!翔、気持ちがいいね!江城SCCを代表して、君を歓迎するよ。これから、色々な形で協力できればいいな」

これで、皆が納得した。

手元に事業計画はあるものの、資金不足に悩んでいた者たちは、森岡翔に売り込みを始めた。

森岡翔が言ったように、お金が渡されるのだから、誰も拒否することはできないだろう。

森岡翔は、ただ早くお金を使いたいだけだった。神豪ポイントを貯めるために。

みんなが盛り上がっていたその時。

阿部破軍が部屋に入ってきて、森岡翔の耳元でささやくように何かを伝えた。

森岡翔は、眉をひそめた。

彼は斉藤晨に言った。「斉藤さん、破軍が、隣の部屋に能力者がいると言っている」

「能力者?どんな能力者だ?」斉藤晨が尋ねた。

「破軍でも、勝てるかどうか。少なくとも、彼より弱いということはないだろう」森岡翔は答えた。

「ほう?」

斉藤晨は少し驚き、森岡翔の後ろに立っている阿部破軍を見た。

彼に会った瞬間、斉藤晨は、彼から強い威圧感を感じ取っていた。

佐藤六指を簡単に倒せるということは、彼の強さは、自分の家の二人の叔父にも劣らないだろう。

だからこそ、彼は最初、森岡翔は、どこかの名家が送り込んできた切り札なのではないかと思ったのだ。

しかし、今、森岡翔は自分の目的を明らかにした。彼には、江城に進出する意思はないようだ。

それなのに、なぜ、こんなにも強い男が現れたのか?

一体いつから、江城には、こんなレベルの能力者がうようよいるようになったんだ?

斉藤晨は、自分の目で確かめることにした。

こんなレベルの能力者が江城に潜んでいるとなると、無視することはできない。彼の正体を突き止めなければならない。

何しろ、江城は斉藤家の縄張りなのだ。

「行くぞ!森岡さん、一緒に行って、顔を見
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